2014年7月11日金曜日

赤い異国の花は


鮮やかな赤は気分をひきたたせる、が、こういう花が庭に生えていたほうがいいかどうか―オーストラリアから世界へと広がった花々の多くは、野性味とエキゾティズムを持ち合わせているが、だからといってこの花々を庭に植えると、ほかの草花との釣り合いにも悩むことになりそうである。このような日本にもふつうに生えてそうもない花は庭の中にうまくおさまるとは限らないが、この花の咲く領土への主権拡大をもくろむ心にとってみれば、この花を庭にもつことは一つの「成果」であり、誇るべき何かなのだろう。
戦前の日本で古寺を巡るのが流行り始めたころ、軍国主義は中国の奥地まで伸長しようとしていた。白鳳時代の仏の顔に似ている中国奥地の仏の図像を愛でた日本人の心は、オーストラリアの領土を主張したイギリス人が、こんな花を喜んだことと、どこか近いのだろうか。

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